クレアチンは効果がある?研究から分かっていること
クレアチンのサプリメントを知ったのは20数年前で、「筋持久力が上がる」と勧められて使った記憶があります。個人的には、体感できるような変化はありませんでした。
クレアチンは、アミノ酸を材料に体内でつくられ、肉や魚などにも含まれている物質です。サプリメントとしては化学的に合成されたクレアチン・モノハイドレートが広く使われています。
自分としてはだいぶ前に筋力トレーニングやスポーツの場面で使われていたという認識ですが、ここ2年ほどで再び話題になり、お客様から質問されたり、実際に使われる方が増えてきたように感じています。
そこで今回は、クレアチンがどのような物質なのか、研究でどのような変化が報告されてい
るのかを調べてみました。
近年、再び注目されている理由
クレアチン自体は、新しく登場したサプリメントではありません。日本でも、1999年にはクレアチンを使ったスポーツサプリメントが販売されていました。
以前から、主に筋力やパワー、短時間の高強度運動を支える目的で使われており、近年はそれらに加えて、脳のエネルギーや認知機能、睡眠不足時の疲労、加齢に伴う筋肉量の低下、女性の筋肉や骨の健康なども研究されています。
こうした情報がSNSやメディアを通じて広がり、改めて注目されているようですが、これらは研究が進められているテーマを含んでおり、運動パフォーマンスに関する研究と同じ程度に結果が揃っているとは限りません。
そもそもクレアチンとは?
クレアチンは、アミノ酸を材料に体内でつくられる、窒素を含む有機化合物です。アルギニン、グリシン、メチオニンという3種類のアミノ酸を材料に、主に肝臓や腎臓などで合成されます。また、クレアチンは肉や魚などの動物性食品にも含まれています。
つまり、体内でつくられるものと、食事から取り入れられるものの両方がある物質です。体内に存在するクレアチンの約95%は、骨格筋にあるとされています。筋肉内のクレアチンの一部は、リン酸と結びついたクレアチンリン酸、またはホスホクレアチンという形で存在します。
筋肉が力を発揮するときには、ATP(アデノシン三リン酸)という物質が分解され、そのときに生じるエネルギーが筋収縮に使われます。ATPは使われると、ADP(アデノシン二リン酸)とリン酸に変わります。クレアチンリン酸は、このADPにリン酸を渡してATPを再合成する反応に関わります。
このように、クレアチンはクレアチンリン酸を介して、使われたATPを再び利用できる状態に戻す仕組みに関係しています。この仕組みが、短時間に大きな力を発揮する運動や、力を繰り返し発揮する運動との関係で研究されてきました。
サプリメントとして使われているクレアチンは、肉や魚から抽出したエキスというより、一般的には化学的に合成されたものです。多くの製品では、研究例が多く広く使われているクレアチン・モノハイドレートが主成分として使われています。粉末やカプセルなどの形で販売されていますが、香料や甘味料、カプセル素材などは商品によって異なる場合があります。
筋力やパワーにはどの程度影響するのか?
2025年に発表されたシステマティックレビューとメタ分析では、クレアチンに関する69研究、合計1,937人のデータがまとめられています。
クレアチンを摂取したグループと、プラセボなどを摂取した対照グループを比較したところ、下の表にあるような平均差が報告されました。
表の数値は、複数の研究をまとめた平均的な差です。個人の変化量をそのまま予測する数値ではなく、年齢やトレーニング内容、摂取期間、測定方法などによっても変わる可能性があります。
測定項目 | クレアチン群と対照群の平均差 |
ベンチプレス・チェストプレス | 約1.43kg |
スクワット | 約5.64kg |
垂直跳び | 約1.48cm |
Wingateテストのピークパワー | 約47.81W |
握力 | 統計的に明確な差は確認されなかった |
レッグプレス | 統計的に明確な差は確認されなかった |
Wingateテストは、自転車を使って短時間に大きなパワーを発揮する能力を測るテストです。この結果では、クレアチンの影響がすべての種目で同じようにみられたわけではありません。
特定の種目では平均差が報告された一方で、握力やレッグプレスでは明確な差が確認されない結果でした。(スクワットでは差がみられたのに、レッグプレスでは明確な差がみられないのは謎です……。)
筋持久力にはどの程度影響するのか?
筋持久力についても、クレアチンとの関係を調べた研究があります。2024年に発表された研究では、筋力トレーニング経験のある男性12人が、クレアチンを1日20g、5日間摂取しました。
その後、ベンチプレスを70%1RMで限界まで繰り返したところ、クレアチンを摂取した期間では、反復回数や総作業量が増えたと報告されています。ただし、この研究は参加者が12人と少なく、摂取期間も5日間です。
また、最大筋力や主観的運動強度、血中乳酸、疲労指標などには、明確な変化が確認されませんでした。ここでいう筋持久力は、長時間走り続けるような持久力というより、同じような高強度運動を繰り返す能力に近いものです。
個人の体験だけでクレアチンの効果全体を判断することはできませんが、研究で報告される平均的な変化と、実際に感じる効果がいつも一致するとは限らないことは、自分の経験からも感じています。
筋肉量はどの程度増えるのか?
筋肉量については、除脂肪量や除脂肪体重といった指標を使って調べられることが多くあります。2026年に発表されたメタ分析では、18〜30歳の健康な男性を対象にした37件のランダム化比較試験がまとめられています。
レジスタンストレーニングを行った研究では、クレアチン群と対照群の差として、FFM(除脂肪量)では約3.39kg、LBM(除脂肪体重)では約2.70kgが報告されました。一方、レジスタンストレーニングを行っていない条件では、身体組成に統計的に明確な差は確認されませんでした。
ただし、FFMやLBMには筋肉そのものだけでなく、体内の水分なども含まれます。そのため、これらの数値を、そのまま新しく増えた筋肉の量として考えるのは難しそうです。また、このメタ分析の対象は18〜30歳の健康な男性です。年齢や性別、トレーニング内容が異なる場合には、同じ結果になるとは限りません。
2025年に発表された別のランダム化比較試験では、63人がクレアチン・モノハイドレートを1日5g摂取しました。7日間の摂取期間の後、12週間のレジスタンストレーニングを行う内容です。
7日後の測定では、クレアチンを摂取したグループの除脂肪量が、対照グループより平均で約0.51kg多く増えていました。しかし、その後12週間のトレーニングを行ったところ、両グループとも約2kg増加し、トレーニング期間中の増加量には統計的に明確な差が確認されませんでした。
この研究では、最初の短期間にみられた除脂肪量の差には、水分などの変化が影響した可能性も考えられています。このように、クレアチンと筋肉量の関係は、研究によって結果の見え方が異なります。
測定された数値の意味や、摂取期間、トレーニング内容まで含めて考えると分かりやすそうです。
どのように摂取するのか?
研究で最も多く使われているのは、クレアチン・モノハイドレートです。
クレアチンの摂取量は、トレーニング1回あたりというより、1日単位で示されることが多く、一般的な方法としては1日3〜5g程度を継続して摂取する形が研究でよく使われています。
短期間で筋肉内のクレアチン量を高める方法として、ローディングと呼ばれる方法もあります。これは、最初の5〜7日間に1日20〜25g程度を摂取し、その後に1日3〜5g程度へ移る方法です。ローディングを行う場合は、1回にまとめず、数回に分けて摂取する設計が紹介されています。
一方で、最初から1日3〜5g程度を継続する方法もあります。この場合、ローディングを行う方法よりも、筋肉内のクレアチン量が高まるまでに時間がかかるとされています。
ここで紹介している摂取量は、主に健康な人を対象にした研究で用いられた範囲です。腎臓の病気がある方や治療中の方では条件が異なる可能性があるため、使用を検討する際は、医療者に相談しながら進める形が安心です。
まとめ
研究では、クレアチンを摂取したグループで、スクワットやベンチプレス、垂直跳び、Wingateテストなどに平均的な差が報告されています。
一方で、すべての種目で同じ結果がみられたわけではありません。
筋持久力についても、短時間の高強度運動を繰り返す場面で、反復回数や総作業量の増加が報告された研究があります。
ただし、小規模で短期間の研究であり、長時間の持久力や、すべての人に同じ変化がみられることを示すものではありません。
筋肉量についても、除脂肪量や除脂肪体重の増加が報告された研究がある一方で、水分の変化や研究方法の違いも考慮する必要がありそうです。
近年は、筋力やパワーだけでなく、認知機能、疲労、加齢、女性の健康などとの関係も注目されています。
クレアチンを検討するときも、研究の対象者や測定方法、トレーニング内容まで含めて、自分の状況に合うかを考える材料にするとよさそうです。
参考にした資料
※本記事は、クレアチンに関する研究情報を紹介するもので、特定の製品の使用を勧めるものではありません。サプリメントを利用する際は、製品表示や摂取目安量を確認してください。持病がある方や薬を服用中の方は、使用を始める前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。



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